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過重労働問題解決スペース

1.過重労働問題について

過重な労働が原因と考えられる過労死、過労自殺が増加しています。過労が原因で社員がうつ病に罹患し自殺した場合は、労災保険による法定補償に止まらず、企業の使用者としての責任が問われる可能性が高くなります。労働契約上の安全配慮義務を怠ったとして民法上の債務不履行責任や不法行為責任に対する損害賠償義務の発生です。社員に過労死や過労自殺が起こった場合は、企業側に刑事責任が問われることもあり得ます。むろん、これらの責任が発生するのは、過労死、過労自殺と業務との因果関係が明らかであり、企業側に過失があることが要件となります。企業には社員の労働時間を管理する義務、健康を管理する義務がありますから、過重な労働が原因でうつ病を発症後、自殺した場合に企業側に過失がないと主張するのは、現在の社会的な状況からも大変厳しいものと考えられます。

2.過重労働問題対処法

社員の方へ

企業には、社員の労働時間管理義務、健康管理義務がありますから、過重労働により社員の健康が害されることのないようにしなければなりません。これは労働契約に付随して企業に課される安全配慮義務です。企業が通常の努力で労働時間を把握できる状況にあったにもかかわらず、長時間に及ぶ過重な労働を是正せず、社員がうつ病に罹患し自殺した場合などは、労災保険だけではなく、企業の民法上の責任(債務不履行責任、不法行為責任(使用者責任))が発生する可能性が高くなります。命にかかわる問題ですから、健康を害するような過重労働であると感じた場合は、まずは上司に相談し、対応が鈍いようであれば外部の専門家、専門機関へ相談してください。病気になってからでは手遅れになります。外部へ相談する場合には、労働実態の詳細、労働時間の記録などを用意しておく必要があります。

企業担当者の方へ

過重労働が原因で社員が自殺したと考えられる事案については、近年、労災と認定されるケースが増加しています。現在の社会状況からも過労死、過労自殺を防止するための配慮義務を企業がきちんと果たしていたかどうかという点で、世間の目は厳しくなっていますから、社員が過労死、過労自殺した場合に問われる企業の責任は、ますます重くなると思われます。過労死、過労自殺が起こった場合、企業イメージの低下、社員モチベーションの低下、優秀な人材の流失、人材確保の困難化などの問題も生じてきます。まさに企業の存続にかかわる問題です。人事労務管理は、絶対管理です。いうまでもなく社員は十人十色ですから、一人一人の能力、性格、適正を的確に把握し、個人毎に労務管理を行う必要があります。

3.過重労働問題 Q&A

過重労働が原因で社員がうつ病に罹患して自殺した場合の企業の責任
過重な長時間労働が原因で社員がうつ病に罹り自殺した場合に、企業が負うと考えられる責任はどのようなものですか。

通常企業は、労働契約上過重な長時間労働によって社員の健康に悪影響が出ないようにするための義務として安全配慮義務を負っています。労働時間を適正に管理せずに過重な長時間労働を放置し、結果社員がうつ病に罹患して自殺した場合は、企業は労働契約債務不履行となり、損害賠償責任が生じる可能性が高くなります。また、上司は部下の勤務状況を適切に把握し、社員の健康管理をしっかり行う注意義務がありますが、これを怠り結果社員がうつ病に罹患して自殺した場合は、上司の不法行為について企業責任(使用者責任)を負うことになり損害賠償責任を負わなければならない可能性もあります。

過重労働が原因で過労から社員が心疾患、脳血管疾患で死亡した場合の企業の責任
過重な長時間労働が原因で、社員が心疾患や脳血管疾患で死亡した場合に企業が負うと考えられる責任とはどのようなものですか。

過重な長時間労働により、社員が心疾患、脳血管疾患を発症し死亡した場合、社員の死亡と業務との間に因果関係があれば、企業には安全配慮義務違反に対する損害賠償責任が生じる可能性が高くなります。死亡と業務との因果関係を判断する認定基準を厚生労働省労働基準局長が下記のように示しています。

発症前1箇月間に概ね100時間または発症前2箇月から6箇月間にわたり1箇月あたり概ね80時間を超える時間外労働が認められるときは、業務と発症との関連性が強いものと評価できるとする。

この認定基準に相当する時間外労働が行われていた中で、心疾患、脳血管疾患を発症した場合、労災と認定される可能性が高くなり、企業には安全配慮義務違反に対する損害賠償責任、上司等には不法行為に対する損害賠償責任が生じる可能性も高くなります。企業としては、長時間労働を放置すること自体が大変な問題であることを認識する必要があります。

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